「データがない」を、終わらせる。

産前産後体づくり協会の研究活動

専門職がデータを見ながらミーティングをしている水彩イラスト

問題意識——なぜ研究が必要か

産後の体力・運動支援は、学術研究の視点から見ても「空白地帯」です。

  • 産後女性の約75%がマイナートラブルを抱え(寅嶋ほか・460人調査)、骨盤底障害の症状は73.6%に及ぶ(Suemitsu 2023)にもかかわらず、日本人を対象とした産後の体力・運動介入に関する学術データは、大規模なものがごくわずかしか存在しません
  • 海外では、運動介入が産後うつの発症オッズを45%下げる(Deprato 2025, 35研究・4,072名)など、メタ解析レベルのエビデンスが着実に積み上がっています。しかしそのメタ解析に含まれる日本発の研究はほとんどなく、日本の周産期・リハビリテーション関連学会でも、産後の運動支援を主題とした報告はまだ限られています
  • エビデンスが乏しいために臨床の標準にならず、標準にならないために実践が広がらず、実践がないためにデータが生まれない——この悪循環が、研究の空白を固定化しています。海外のエビデンスを日本の臨床現場で検証し、日本人のデータとして学会・論文の形で示すことが必要です

協会が取り組む研究活動(構想)

① 一次データの取得

プレファミリー事業などの実践の場で、産前産後の体力・骨盤底機能(PFDI-20)・心の健康(EPDS)・社会的つながり・運動継続率を複数時点で測定し、これまで行政が持ち得なかった一次データを取得します。

② エビデンスの構築と発信

認定講師のネットワークを通じた症例・データの集積。学会発表・論文化による、産前産後の体づくりの科学的根拠の発信。「運動 × 夫婦参加 × 産後うつ予防」を一体で検証した研究は国内外にまだなく、この領域の開拓を目指します。

③ カリキュラムへの還元

得られた知見は協会の全14章カリキュラムに継続的に反映し、「最新のエビデンスで学び続けられる」認定制度を維持します。

研究活動の進行状況

現在進行中の取り組みと今後の計画を時系列で掲載しています。進捗にあわせて随時更新します。

2026年〜進行中

認定カリキュラムのエビデンス整備

全14章のカリキュラムについて、章ごとの出典・参考文献の体系化を進めています(→ エビデンス・参考文献)。

2026年〜進行中

自治体実証事業への提案(プレファミリー事業)

夫婦参加型オンライン両親学級を通じた一次データ取得の枠組みを、自治体の実証事業として提案しています。

2026年度内計画中

一次データの取得開始

プレファミリー事業の実践の場で、体力・骨盤底機能(PFDI-20)・心の健康(EPDS)・社会的つながり・運動継続率を複数時点で測定します。

2027年〜計画中

学会発表

取得した一次データをもとに、周産期・リハビリテーション関連学会での報告を目指します。

2027年〜構想

論文化・ガイドラインへの貢献

日本人を対象とした産後の運動支援エビデンスとして論文化し、将来的には臨床の標準づくりへの貢献を目指します。

通年募集中

共同研究・データ連携

大学・研究機関・自治体・医療機関との共同研究のご相談を受け付けています(下記参照)。

現場のデータを共有しながら議論する専門職の水彩イラスト

共同研究・連携のお願い

大学・研究機関・自治体・医療機関との共同研究、データ連携のご相談を歓迎します。お問い合わせはLINE公式アカウントまで。

参考文献

  • Tokumitsu K, et al. Prevalence of perinatal depression among Japanese women: a meta-analysis. Ann Gen Psychiatry. 2020(産後うつ有病率14.3%・108,431例メタ解析)
  • Deprato A, et al. Impact of postpartum physical activity on maternal depression and anxiety. Br J Sports Med. 2025(運動介入で産後うつ SMD−0.52・発症オッズ45%減)
  • Suemitsu T, et al. Prevalence and Risk Factors of Pelvic Floor Disorders After Delivery in Japanese Women. Cureus. 2023(産後の骨盤底障害73.6%・腹圧性尿失禁37.3%)
  • Woodley SJ, et al. Pelvic floor muscle training for preventing and treating urinary and faecal incontinence. Cochrane Database Syst Rev. 2020
  • Wang Y, et al. Comparative impact of exercise-based interventions for postpartum depression. Int J Gynaecol Obstet. 2024
  • Shapiro AF, et al. 2019(カップル参加型出産準備と父親の育児参加)
  • 寅嶋静香ほか「産後女性の身体状況把握及び産後運動ケア実践の提案」早稲田大学(460人調査)
  • 堺市こども計画(令和7〜11年度)